最近、テレビや新聞で「成年後見」という言葉を目にします。
お年寄りの財産を管理してくれる「後見人」という人がいて、本人に代わって契約行為などを行ってくれるらしいのですが、後見人とはいったい何者なのでしょうか。
また、おばあさんの持つアパートを売ろうと思って不動産屋さんに行くと、「後見人をつけないと売れないよ」と断られたりします。いったいなぜでしょうか。
わたしたちは契約を前提とする社会に生きています。契約書を書いたり、実印を押したりするものだけが契約ではありません。コンビニで雑誌を買うのもスーパーで野菜を買うのも民法に定められた立派な契約行為です。
契約をするためには、自分の行った行為の結果がどのようになるか判断できることが前提となります。判断能力が不十分ではだまされてしまいます。
そうならないように支援するのが成年後見制度です。
判断能力が不十分な人に代わって後見人が適正な契約行為を行うことによって、その人や契約の相手方を守ります。そのため後見人には高い責任感や判断能力が必要とされます。後見人がミスや不祥事をおかした場合には、その不利益は支援を必要としている本人自身が受けることになってしまうからです。
だれを後見人とするかは裁判所が決定します。家族が選任されることもあれば、複雑な事案では司法書士などの専門職が選任される場合もあります。
また、判断能力が低下する前に、自分で、将来後見人になってほしい人を決めておくこともできます。この場合の後見人を「任意後見人」といいます。
いずれの場合であっても、後見人として選任されたからには、ご本人の自己決定を十分尊重しながら、確たる使命感を持って財産管理に努めることが重要となります。
■法定後見と任意後見
|
法定後見 |
任意後見 |
選任時期 |
判断能力低下後 |
判断能力があるうち |
後見人 |
裁判所によって選任される |
自分で選ぶ |
選任方法 |
審判による |
契約による |
後見監督人 |
選任されることがある |
必ず選任される |
後見人の報酬 |
裁判所が決定する |
契約による |
成年後見は判断能力の程度に応じて次の3種類に分かれます。
どれに当てはまるかは、主に医師の診断書にしたがって裁判所が判断します。
後見人の種類
司法書士は、独自の後見人監督機関として「成年後見センター・リーガルサポート」という公益社団法人を設立しています。
成年後見制度を利用した場合、後見人の業務は裁判所の監督下に置かれ、不祥事などが行われないよう厳重に監視されていますが、これに加えてもう1つ第三者による監督機関を設けました。
リーガルサポート会員である司法書士は、より厳格な監督指導のもと成年後見業務を行っています。
>>リーガルサポートホームページはコチラ<<